最高裁判所第三小法廷 昭和23年(オ)19号 判決 1948年5月18日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人大道寺慶三の上告理由は「原審は昭和二三年一月二〇日の口頭弁論期日に於いて控訴(上告)代理人の弁論期日変更申請(之れについては確実なる疏明を付してあつた)を無視して弁論を終結し判決言渡期日を同年二月三日に指定した模様であるが控訴(上告)代理人には右判決言渡期日の通知を全然しなかつた、若し之れを受けたりとすれば控訴(上告)代理人に於いて速やかに弁論再開の申請を為すべき処であつた、故に原審判決は判決言渡期日の通知を為さなかつた点に於いて違法である」というのである。
しかし、当事者の一方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を経て審理を終結し、裁判長に於て判決言渡期日を指定して該期日に出頭すべき旨を当事者に告知したときは、その告知は民事訴訟法第二〇七条、第一九〇条第二項により在廷しない当事者に対してもその効力を有するものであるから更にその者に対して右判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないのである。
以上の理由により上告を理由なしとし民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条に従い主文の如く判決する。
右は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 庄野理一 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)